3Dモデリング技術

物理探査・地質調査結果をインプットとし、コンピュータビジュアライゼーションをベースとした「地盤の3Dモデリング技術」をご紹介いたします。

3次元地質構造モデルの作成

地形調査地質踏査ボーリング調査、あるいは様々な物理探査で知り得た情報は、個別の情報に過ぎません。これらを総合的に考えて、対象地域の地質構造を把握しておくことは、地域の地震防災上極めて重要なことです。

また、このような作業によって、来るべき未来に起こり得る地震に対し、その地震動を評価する基準となるモデルを作成することが必要となります。

地盤の3次元モデリングは2段階で行われます。最初に重力探査・P波反射法探査および深層ボーリング調査の結果得られた,基盤岩深度やその上に堆積した地層区分・断層の位置等の情報を用いて3次元地質構造モデルを作成します。次に速度検層や密度検層・P波反射法探査・P波屈折法探査の結果からP波速度,S波速度,密度などの物性値の分布を求め,3次元地質構造モデルに対応する3次元物性値モデルを作成します。このように3次元地質構造モデルを介して3次元物性値モデルを作成する方法が当社の地盤の3次元モデリングの手法の特徴です。

可視化技術

地質調査や物理探査を統合して得られた地質構造を3次元的に表現することにより、地下構造の特徴や問題点などを視覚的に理解することが出来ます。

下図の例は京都盆地の3次元地質構造を表現したものです。盆地の骨格を形成する基盤岩面や基準となる地表面などの構造を地形面とあわせて立体的に示しています。

ただし、これらの図では、高さ方向を4倍に強調して表現しているため実際より傾斜は急に表れています。

京都盆地の鳥瞰図 (京都市, 2003)

(※下図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。)

堆積層のない基盤岩上面図
京都盆地の3次元地質モデルのうち,硬い岩盤からなる基盤岩の上面の分布を鳥瞰図として示したものです。京都盆地を覆っている厚い砂・砂礫や粘土からなる堆積層をすべて取り去った状態を示しています。
基盤岩上面及び断層面の鳥瞰図
京都盆地の3次元地質モデルのうち,濃い青で示す断層面と基盤岩の上面を示しています。京都盆地はその周囲のおおくは断層となっていること,京都盆地はこれらの断層の活動によって周辺の山地が隆起して形成されたこと,などが分かります。
約85万年前以前の地層を重ねた図
京都盆地の3次元地質モデルのうち,基盤岩を覆って約200万年前から厚く堆積した,大阪層群とよばれる比較的新しい地層のうち,約85万年以前に堆積した大阪層群下部の分布を表しています。
現在あるすべての地層を重ねた図
京都盆地の3次元地質モデルのうち,基盤岩の上のすべての地層を重ねて表示した図です。京都盆地の大部分は薄緑色の主として砂や砂礫からなる新しい沖積層に覆われていますが,周辺の山麓部にはそれより古い大阪層群上部層・下部層が表面に出ている部分もあります。このように地盤の3次元モデリングは,京都盆地の地質の成り立ちを出来るだけ忠実に再現する3次元地質モデルを作成することから始まります。